本日は生命保険の基本的な原則と法則についてお伝えします。
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収支相等の原則
生命保険は大勢の保険契約者が保険料を負担し、それを財源として誰かが死亡したときや病気になったときに、保険金や給付金を受け取ることができる「助け合い」「相互扶助」の仕組みによって成り立っています。
では、保険料はどのように決まるのでしょうか?
生命保険の収支においては、集めた保険料(収入)と支払った保険金(支出)が等しくなることが基本です。これを「収支相等の原則」といい、計算式では以下のようになります。
保険金 × 死亡者数 = 保険料 × 契約者数
死亡率が2%ということは100人のうち今後1年間に2人死亡するということですから、生命保険会社は100万円×2人=200万円の保険金の支払いを見込みます。
そのため保険料として1人あたり200万円÷100人=2万円を負担する計算になります。
上記の式に当てはめてみると…
100万円 × 2人 = 2万円 × 100人
となります。
給付反対給付均等の原則
前述の事例ではグループ全体の死亡率を2%と想定していますが、実際は統計データにより死亡率は年をとるにつれて高くなることや、同じ年齢でも男性と女性では死亡率が異なることが判っています。
そのため全ての人が同じお金を負担すると、例えば若い人にとっては保険金をもらう機会が少なく損をすることとなり、不公平な生命保険となってしまいます。
生命保険会社では死亡率を年齢別・男女別に計算した「生命表」をもとに、被保険者ごとの保険料が公平になるよう算出しています。
言い方を変えるとリスクの高さに応じて保険料を算出することで保険契約者の負担は公平となります。
この原則を「給付反対給付均等の原則」といいます。
大数の法則
生命保険では生命表によって公平な保険料を算出することができますが、生命表をはじめとする統計資料には「大数の法則」が活用されています。
ここでは、大数の法則を簡単にご説明いたします。
例えばサイコロを振って1から6の目が出た回数をカウントすることとします。
10回振ってみると、それぞれの目が出る回数は偏っていたりばらばらで、目によって出る確率が異なるように見えます。
しかし100回振るとそれぞれの目が出る回数の差は徐々に小さくなり、目が出る確率は1/6に近くなっていきます。さらに1000回、10000回と振っていくと、確率はどんどん1/6に近づきます。
少ないサンプルでは法則が分からなくてもたくさんのサンプルを集めることで一定の法則が判明する、いわゆる「大数の法則」です。
これは人の死亡率についても適用できるため、多くの人のデータを集めることで死亡率を年齢別・男女別などにまとめた「生命表」を作成することができるのです。