前回のブログは三大治療についてでしたが、今回は第4、第5の治療法についてです。
第4の治療法 免疫療法
がん免疫療法は、がん治療の第4の選択肢と呼ばれています。がん免疫療法の歴史は長く、1980年代にアメリカの国立がん研究所で行われた研究が始まりだと言われています。
その後も世界中で研究が積み重ねられ、近年の技術進歩、特に再生医療や遺伝子解析の技術が飛躍的に発展した結果、一般的ながん治療の方法として確立されるようになりました。
がん免疫療法の特徴は、私たちの体の中にもとからある免疫の力を使う点にあります。免疫の状態をより良くし、がんと闘いやすい状態を作ることによって、がんの発生・増殖を防ぎ、既にあるがんについては縮小・消失を狙います。従来の三大治療と比較して副作用や体への負担が少ないことがメリットとして挙げられます。デメリットとしては、三大治療ほど即効性は期待できません。しかし、がんとの戦いは長期的なことが多いので、組み合わせることによって効果を発揮すると言われています。
第5の治療法 光免疫療法
新たながん治療として注目されているのが、第5の治療法ともいわれている光免疫療法です。がん細胞だけをピンポイントに攻撃できるうえ、がんに対する免疫を高める作用もあるのが特徴です。
免疫療法とは、がん細胞のみに付着する薬剤を投与した後に光(近赤外線)を照射することで、薬剤が光に反応してがん細胞だけを破壊する治療法です。2020年9月に世界で初めて日本が承認され、2021年1月に保険適用となりました。(今のところ頭頸部がんのみ)
光免疫療法で使用する薬剤は、がん細胞の表面に付着するたんぱく質に、光に反応する色素を付けたものです。点滴で投与すると、薬剤が徐々にがん細胞に集まっていき、約1日で、がん細胞に薬剤が十分に付着した状態になります。薬剤が付着したところに光を当てると、色素が反応してがん細胞を破壊します。薬剤自体はがん細胞にダメージを与えず、光も人体には無害です。両方が反応することで、がん細胞を壊すことができます。
光免疫療法はまだ新しい治療法ですが、これまで治療が難しかったがん患者さんにとって、大きな希望となる可能性があります。今後さらに研究が進むことが期待されています。
まとめ
従来の治療法である化学療法や放射線治療は、がん細胞だけでなく正常な細胞まで攻撃してしまいます。本来はがんを攻撃する役割を持っている免疫細胞も、これらの治療によってダメージを受けるため、免疫機能が落ちてしまうことがあります。手術は、がんが転移している可能性がある場合、免疫を担う器官であるリンパ節を切除することがあり、免疫機能の低下につながってしまいます。
どの治療法にもメリット・デメリットはあります。
さまざまながん治療法がありますが、しっかりと検査を行いがんの進行度や大きさに合わせ適切な治療法を選択することが大切です。患者さん本人とその家族が納得できる治療を受けられるよう、定期的な検査を行い医療スタッフとともに最適な治療法を考えていきましょう。