2021年12月2日の厚生労働省主催の先進医療会議において、2021年度に実施された先進医療の実績報告がありました。
費用の総額と患者数の推移
2021年度は、先進医療費用の総額が約62億円、全患者数が5,843人だったそうです。2020年度から大きな変動はなく、先進医療費用の総額が過去最高だった2019年度に比べて、約五分の一になりました。この要因としては、白内障の手術の一つである「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の除外が大きいと思われます。
実施されていた技術数
2021年6月30日時点で実施されていた先進医療技術数は、先進医療Aが24種類、先進医療Bが59種類の計83種類です。新規承認技術数は先進医療Aが3種類、先進医療Bが10種類の計13種類。また、実施取り下げ技術数・削除技術数は、先進医療Aが1種類、先進医療Bが12種類でした。
先進医療総額のランキング
2021年度の1位が陽子線治療で、1,285件の3,405,221,700円でした。2位以下は、重粒子線治療の683件、2,176,454,000円、MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法の1,338件、144,748,633円。細胞診検体を用いた遺伝子検査の459件、34,704,982円、高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術となっています。
上位4位までが「がん」に関連する医療技術です。高額ながんの治療法である陽子線・重粒子線を用いた粒子線治療が、先進医療総額の大きな割合を占める技術となっています。
まとめ
先進医療は、将来的な保険導入のための評価を行うものとして位置づけられています。しかし、一部の先進医療技術は、保険導入に係る評価に必要なエビデンスが十分に集積できず、長期間にわたって先進医療として継続されることもあるようです。
また、不妊治療技術など今後、新たに申請されるかもしれない新規技術の動向にも注目です。
医療保険の先進医療特約が、付加されているかの確認もしておきたいですね。