白内障手術の多焦点眼内レンズは2020年3月末で先進医療から外れます
白内障ってどんな病気?
白内障は加齢とともに罹患率が増える疾患で、70代の約半数、80代ではほぼ全員が白内障になっているとも言われています。
また若くても糖尿病等の合併症で白内障になる方もいます。
カメラのレンズに相当する水晶体はたんぱく質と水分で構成されていますが、そのたんぱく質が変質し濁ると光の通過が妨げられ乱反射を起こすようになり視力が低下します。
点眼や内服薬では改善しないため、日常生活に不自由が生じてきた場合には手術が必要になります。
日本では年間約100万件の白内障手術が行われており、一般的な手術といえます。
手術の方法は?
現在普及している白内障の手術は、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、眼内レンズ(人工レンズ)を挿入する方法です。局所麻酔で実施し痛みもほとんど無く、手術時間も15~30分程度です。
挿入するレンズには種類がある
挿入する眼内レンズには「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。
①単焦点眼内レンズ
・遠方か近方どちらか1点のみ焦点が合う
・遠方に焦点を合わせた場合、近方を見る際老眼鏡が必要になる
・健康保険適用で自己負担額は片眼5~6万円(3割負担の場合)
②多焦点眼内レンズ
・遠近2か所に焦点が合う
・結果的に老眼も治る
・先進医療で片眼50~60万円を全額自己負担
先進医療から除外される?!
現在「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は厚生労働省による「先進医療」に指定されています。
ところが昨年12月13日に開かれた「厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会」において、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は「先進医療」から除外されることになりました。
協議会資料によると…
<白内障に対する水晶体再建術後の「眼鏡装用率の軽減効果」は示されているものの、「疾病に対する治療」という観点からの既存治療に対する明らかな優越性は示されておらず、かかる費用や一定程度の不満例の存在等を考慮すると、医療の効率化に資するとはいえず、先進医療からの削除が適当>
と指摘されています。
今後は…
「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は今年の3月末で「先進医療」から除外され、4月からは「選定医療」となります。これは…
①手術費用(レンズ以外)は保険診療
②多焦点眼内レンズは自費
という、いわゆる「混合診療」になるということです。
現在お持ちの保険に「先進医療特約」が付加されており、多焦点眼内レンズによる白内障手術をご検討されている方は、3月末までの手術をおススめします。
手術は検討しているものの、先進医療特約をお持ちでなく自費での手術をご検討の方は、4月以降に「選定医療」となってからの方がご負担が少なくなると思われます。